高梨 麻梨香個展「ナラティブの躯体」

【展覧会のお知らせ】

高梨 麻梨香による個展についてのお知らせです。

6/3より京都市にて2箇所同時開催される個展は、どちらも「光」と「音」によって構成されるインスタレーションです。河岸ホテルのレジデンス事業に採択され、約半年間京都府京都市に滞在して得た経験を基に設計された空間は、人間の無意識を浮き彫りにします。

— 常に私たちは、環境音、人々が発する音や視覚情報から必要な情報のみを取り入れ、無意識に他者の不在の証明を積み重ねる事で自分自身の存在を見出す。 —

展覧会詳細についてはHPよりご確認ください。HP:https://2bn14.jimdosite.com

なお、河岸ホテルにて開催される個展「ナラティブの躯体」はご予約が必要です。コチラgoogleフォームより前日21時までにお申し込みください。https://forms.gle/pyzbEdbwNgFL8mjV8

MAP:https://www.google.com/maps/d/viewer…

河岸ホテル より徒歩3分ほどのところに、ファブラボを運営されるKyoto Makers Garage がございます。道路側に面したショーウィンドウスペースにて高梨 麻梨香個展「NOISE 実存する夢」も同時開催しております。コチラは24時間鑑賞可能で、ご予約等は必要ございません。ぜひご覧ください。

作家ステートメント

不穏な赤い光と霧が満ちた空間が待ち受ける。鑑賞者は自らの意思で階段を降りなければ、その全容を視認することができない。

「むかし、むかし…」から始まる民話は、これから語られる物語へ導かれる魔法の言葉であり、 民話で見られる入眠と同じような役割を果たす。だから最後には必ず「これで、おしまい」と(秋 田だと「どっとはらえ」など地域によって様々な)締めの言葉で終わる。入眠状態の鑑賞者の目を 覚まさせるために。これはまるで音楽と同じだと思った。どんな形であれ、音楽は魔法であって 欲しい。

蛍光灯は不規則に赤く明滅し、自然光と蛍光灯の光がせめぎ合う空間の中で、東九条の工事の音 や鹿の解体音などの環境音がはっきりと聞こえてくる。そして再び霧が空間を満たしていく。

○○だから××、という健やかな論理は、その健やかさを保ったまま、やがて、鮮やかに反転す る。再配達を頼んだのだから、自殺なんてしない。おかしいのはあの人で、正しいのは自分。健 やかな論理に則って、安心したいし納得したい。だけどそれは、自分と他者を分け隔てる高く厚 い壁を生みだす、一つ目の煉瓦にもなりえる。私たちはなにに飲み込まれて、どこへいくのか。 個人は極めて容易に共同体の中に埋没してしまう。

「民話」の物語世界は〈秩序〉とともに〈ノイズ〉を同時に視野に入れている。正統的〈むら-文 化〉を語ることと「病・偏倚・異常・無 秩序」の非正統の世界を語ることとが「民話」 の意味世 界では不可分なのだ。
正常と異常が存在している場合、両者を切り替えるスイッチ、明瞭な境界があるのではなく、ど ちらも内包する両義的な中間領域が存在しているのではないだろうか。民話で描かれる慣習、慣 行から見える排除の構造に、本作品では、「概念」としてのノイズを接続させる。私は、ノイズを 「認識できるが、無視できる」ものとして定義し、ナラティブに呑み込まれて、腹腔へと辿り着 いてしまった鑑賞者に、ノイズに耳を傾けるか否かの選択を迫る作品として提示する。

空間の隅に設置された蛍光灯が、正常と異常どちらも孕む中間領域として機能し、鑑賞者は思 いのままに入退場できる。その行為自体が、鑑賞者がノイズを排除する/取り込むことの比喩であ り、鑑賞する振る舞いの中で排除の構造が顕在化する。

私は日常の中にある可視化されない/されにくい問題を眼前に現れるものとして提示する。つまり 認識していない/されにくい音に耳を澄ます行為は、日常の中に溶け込んでしまった問題を異化さ せる行為へと繋がるのである。

高梨 麻梨香

【高梨 麻梨香個展「ナラティブの躯体」】 

会期:2022年6月3日(金)〜6月12日(日)

時間:9:00〜21:00※予約制(上記googleフォームよりお申し込みください)

場所:河岸ホテル 地下1階ギャラリースペース

入場:無料

お問い合わせ:高梨麻梨香 2bn14t@gmail.com

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【高梨 麻梨香個展「NOISE 実存する夢」】 

会期:2022年6月3日(金)〜6月12日(日)

時間:24時間鑑賞可能※夜がおすすめです

場所:Kyoto Makers Garage ショーウィンドウスペース

入場:無料

お問い合わせ:高梨麻梨香 2bn14t@gmail.com

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