アーティストインタビュー: 佐藤元紀「アートという”視点”から日常を切り取る」

2019年11月1日に正式にオープンしたKAGANHOTEL。新しくKAGANHOTELに入居をはじめたアーティストの佐藤元紀さんに、作品への思いや、入居にあたっての意気込みについて、話を聞きました。

 


 

– アートを始めたきっかけを教えて頂けますか?

特別なきっかけはありませんが、社会や自分自身について考える中で、多様な考え方を取り入れて、何かしら表現したいとずっと思っていました。その感覚を他の人と共有したい、という思いや、それをしなければいけない、という責任感も感じていました。

その表現方法として、今の時代で私にとってはアートが一番しっくりくると気づいたんです。他の人にとっては、アートではなく、料理や運動などの違う表現方法だったかもしれません。

title: S++1311 video (1200×1600pixel 5min27sec) 2018

 

「アート」という言葉自体も時代や環境などによって違う意味を持っているし、今後も変わっていくはずです。だからこそ、私も変化を受け入れながら、模索していきたいと思います。

– 自身のスタイルを確立するまでは、どのような道のりだったのでしょう?

元々は工芸の勉強をしてました。それもあって、最初は特定の素材で手順通りに制作を進めて行く事が多かったです。しかし最近では、日常にある様々なものを素材として捉えたり、制作の手順に偶然性を入れ込むことが増えてきました。

環境や時代により、私たちの使用する技術や感覚が変化するように、制作活動と生活を近くする事で、時代をより敏感に表現できるのではないかと思っています。

title: S++0159 photo [panel print] A4 [210×297mm] 2018

 

例えば最近では、日常的に持ち歩いているスマートフォンで動画や写真を撮ったり、日々の生活で集めたゴミや広告などを素材として使ったりしています。その時々で面白い、と感じたことを作品にしているので、特定の決まったスタイルでの表現はありません。ただ、作品を通して他者と感覚の共有をしたい、という全体に通底する想いはあります。

– KAGANHOTELに入居を決めたのは、なぜでしょうか?

京都に活動の拠点が欲しいと思っていた矢先に、アトリエの付いたアートホテルができることを知り、応募させていただきました。

入居を決める前に見学に来たのですが、その時に出会った運営メンバーやアーティストの方と自分の年代が近い、というのも魅力に感じました。同世代の方に刺激を受けたり、共同で面白いものを生み出せるのではないかと思い、入居を決めました。

– 今後、KAGANHOTELで挑戦してみたいことを教えてください。

私にとって、作品制作は特別なものでなく、生活にとても近いものです。

KAGANHOTELは作品制作と生活の場所が合わさった場所だからこそ、面白い作品を生み出すことが出来ると思っています。その為には、自身の感覚も含めて、健康でいたいと思っています。

また、様々な能力を持つ人が集まる場所だからこそ、集団でしか出来ない活動ができれば良いなと思っています。


(文・写真 Mariko Sugita 作品写真:Genki Sato)


 

KAGANHOTELで開催中のグループ展にて、自身の作品『S++1302』に横たわる佐藤元紀

佐藤元紀(さとうげんき)

香川県高松市生まれ。視覚表現のアーティストととして活動。作品を通じて感覚の共有を試みている。現在は絵画や写真、映像などのメディアを使用しながらも表現方法は問わず作品を制作している。これまで「スナックその」として[六本木アートナイト2014]や[Canon 写真新世紀 2016]など様々な展覧会に参加してきた。京都・河岸ホテルにて滞在制作を行っている。

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